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ある冬の日の夕方。

週末ということもあり、人はたくさんいる。

街はクリスマスが近いため、ところどころライトアップされ、カップルが目立つ。


そんな中、大通りを一匹の猫が歩いていた。

この猫は黒猫だ。

しかし、自分ではそんなことも気にせずに、尻尾を水平にして堂々と歩いている。


周りにいた子供たちはその猫の容姿からその猫を嫌っていた。

この日も標的を見つけると、猫に向かって石を投げ始めた。


その猫はこんなことにはなれていた。むしろ孤独を望んでいたのかもしれない。

誰にも愛情を注がれたことのないこの猫は、誰のことも思いやることはなかった。

そして今日もいつもと変わらない歩幅で歩いていた。



そのとき、猫は何かに包まれた。



・・・腕だ。

人間の腕。あったかい腕。

見たところ職業は絵描きだろう。

「こんばんわ、かわいいおチビさん。僕らはよく似てるんだ。」

そんなことをいって猫を抱えたまま歩き出す絵描き。


しかし猫のほうは愛情になれていなかった。

腕の中を必死でもがき、引っかき、逃げようとした。




孤独という名の逃げ道に。
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